サイトマップ

疾患概要

ATR-X症候群 診断基準 (平成28年度版;試案)

【診断基準】

必発症状・所見(>90%)(5つ揃えば、ATR-X症候群を強く疑う所見)

1. 男性患者

2. 重度精神運動発達

3. 特徴的顔貌

顔面中心部の低形成(鼻孔が上向き、厚い下口唇、鼻根部が平低、三角口、すき間の空いた門歯)、小頭、耳介低位

4. 消化器系の異常

空気嚥下症、嘔吐、胃食道逆流、便秘、イレウス,流涎過多

5. 特異的症状・行動

手を口に突っ込み嘔吐を誘発
突然の笑い発作,感情の高ぶり
自閉症様:視線を合わそうとしない、常同運動(指をこする、など)
姿勢:斜め上を見上げる、手のひらを上に向けて、顎を突き上げる,あるいは首をしめる仕草
自傷行為

高頻度に認める症状・所見(50%以上)

新生児期

哺乳障害(経管栄養を必要とする)、筋緊張低下

外性器の異常

小精巣、停留精巣、小陰茎、女性外性器様

消化器系の異常

空気嚥下症、嘔吐、胃食道逆流、便秘、イレウス,流涎過多

骨格の異常

先細りの指、第5指短指症、指関節の屈曲拘縮

発育

低身長

姿勢・運動の異常

自閉症様:視線を合わそうとしない
常同運動:指をこする(pill-rollling)
姿勢:斜め上を見上げる、顎を手のひらを返して突き上げる、あるいは首をしめるような仕草
自傷行為

検査

Brilliant Cresyl Blue染色によるHbHの封入体をもつ赤血球の存在
(->陽性率は約20%)

しばしば認める症状・所見(50%以下)

中枢神経 てんかん
心臓 心奇形
腎臓 奇形
眼科 白内障、斜視

その他

原因不明の脳症、
全く食事を受け付けなくなる発作を周期的に繰り返す
無呼吸、チアノーゼ発作
膝をまげた小刻み歩行、脊柱を前彎した独特の歩き方(歩行獲得例)

その他の参考所見

家族歴

X連鎖性遺伝を疑わせる家族歴
(男性同胞、あるいは母方を介した家系に罹患した患者が存在)
(->約1/3は患者の新規突然変異;2/3は母親が変異の保因者)

検査

頭部MRI;脳の構造異常(脳萎縮、脳梁欠損症)、白質の信号異常
ATRX遺伝子変異の存在
(->現時点で、ATRX遺伝子変異が確定された場合のみ確定診断される)

【除外診断】

染色体異常症(微細構造異常)
先天性代謝疾患(アミノ酸、有機酸、乳酸・ピルビン酸、血液ガス、生化学検査など)

【鑑別診断】

重度精神遅滞や自閉症を呈する全ての疾患

Fragile X症候群
Angelman症候群
Coffin-Lowry症候群
Smith-Lemli-Opitz症候群
FG症候群
ATR-16症候群

 

slide02

スライド03